論文紹介のスライドがキレイにまとまりません…。
リハビリテーションを業務としていて、資料作成を行うことなんてあまりないから戸惑ってしまうよね。
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使用した文献
タイトル:Current concepts of shockwave therapy in stress fractures
日本語訳:疲労骨折における衝撃波治療の現在の概念
論文の内容を一言でいうと、衝撃波治療は疲労骨折に効果があるということです。今回はその内容をどのようにパワーポイントで伝えるのかを説明します。
実際のパワーポイント資料
実際に作り終えている資料を最初に見たほうが後の説明の理解がしやすいと思います。まずは後輩が作成してくれた修正前の資料を流し見で良いのでご覧ください。
修正前の資料
一部著作権の関係で伏せている画像があります。赤をキーカラーとした素敵なデザインでしたね。皆さんはこのスライドをみてどのように感じたでしょうか。まずは感想を整理してみることをおススメします!
続いて私が作成した修正後の資料をご覧ください。
修正後の資料
修正後の資料を見てどうだったでしょうか。基本的なベースはなるべく変更せずに修正を行っています。
ここで多くの人が感じると思います。視覚的に見やすいと。
それでは、なぜ違いが生じてしまったのかを説明したいと思います。
ストーリー構成の骨格
資料作成はパワーポイントをつくる前のストーリー構成から始まっています。
論文紹介におけるストーリー構成とは著者の述べたいことを理解して、絵コンテをつくるイメージです。絵コンテとは、作品をつくる前のストーリーの流れを4コマ漫画のように簡単な絵とコメントでまとめたものです。
「君の名は」作者の新海誠監督は、映画をつくる前にすべてのストーリーを絵コンテにまとめ、声も吹き込み、内容を完成させていたそうです。ヒットさせる前のストーリー構成はとても重要です。
さて、論文紹介におけるストーリー構成でまず押さえておきたいのが、タイトルです。
当たり前のことですが、タイトルに書いてあることが著者が伝えたい内容です。タイトルは本文作成後につけられることが多く、本文を大きく要約しているものなのです。
今回のタイトルが日本語訳で「疲労骨折における衝撃波治療の現在の概念」なので、論文紹介では、疲労骨折の病態をイントロダクションで記載し、衝撃波についての概要も記し、考察では実際に衝撃波が現在どのように使われているかを説明する必要があるということがわかります。
そして、もう一つ重要なのはConclusion(まとめ)で述べられている内容を論文紹介で触れておくということです。タイトルに対しての答えが書かれていることが多いからです。
今回のConclusionは「高リスクの疲労骨折になる前に安全性が高いESWT(衝撃波)を使用し骨形成を促進させ効率良い治療を促す」という内容です。
したがって、ストーリー構成としてはタイトルの内容に沿って進めていき、Conclusionで述べられている内容に収まるように話を進める必要があります。
本文を段落ごとに要約
次にパワーポイントをつくるために本文を段落ごとに要約していきます。論文を紹介するので、もちろん内容を熟知しておかなければならないからです。
要約とは言っても段落ごとに文を読んだらタイトルを付ける程度です。その際にスライドのイメージが沸いたら、横に絵をかいておきます。これが絵コンテのようなイメージです。どのように行うのかを参考に画像を載せておきます。
実際に読んでいくと、説明がなくてもストーリーが通じる段落や内容を見つけることがあります。その場合はバッサリと論文紹介に加えないようにしましょう。なぜなら、論文紹介ですべての内容を理解する聞き手はいないからです。内容を取捨選択するほうが有意義な論文紹介になると思います。
すべての本文を読み、要約のタイトル記載と絵が描けたらいよいよスライド作成です。
スライド作成の実際
スライド作成は以下の点を気を付けながら行います。
- 絵や画像、図をなるべく用いる
- 文字を少なく大きく(できれば40px・フォントはメイリオやゴシックで)
- 色はなるべく4色以内で(黒・赤・青・白+キーカラー)
詳しい説明は下記の本に見やすく書かれていますので是非参考にしてみてください。
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修正前のスライドの問題点と改善点
イントロダクション
修正前のスライドでまず問題なのが、説明の順番です。
修正前
タイトル「疲労骨折における衝撃波治療の現在の概念」に沿って進めるなら、イントロダクションの始めは疲労骨折の病態の説明を行ったほうが理解しやすいと思います。
加えて、ネットからの画像をそのまま引用してしまうとスライドに統一性がないため、以下のように修正しました。
修正後
診断と分類
診断と分類の説明で画像診断が必要とのスライドがはさまれています。
修正前
これは無くてもストーリーが通じます。もはや、次スライドの疲労骨折の重傷度リスクの分類方法として、画像診断がどのように活用されているのかを説明する必要があります。したがって以下のように修正しました。
修正後
治療
治療の説明では、疲労骨折の詳しい説明スライドがいくつか含まれています。
修正前
今回のストーリでは疲労骨折の発生頻度やメカニズムよりもどのように治療が進められるのかが重要になります。したがって、治療の核となるポイントをメインに記載したスライドに修正しました。
修正後
ESWTの治療導入
ESWT(衝撃波)の治療導入では、文字の印象が強くなっています。
修正前
視覚的な印象を強めるためにシンプルな画像で攻めてみました。
修正後
実際の治療
最後はESWTを用いた実際の治療についての説明です。修正前からもきれいに表にまとめられています。
修正前
しかし、もう一歩わかりやすくするために、1スライド目の治療方法を2つのスライドに分けて説明しました。
修正後
加えて、残り2つの文献はそれ自体を表にまとめてしまいました。
Conclusion
Conclusionは修正前のように文章で閉めるのも一つの手です。
修正前
しかし今回は、視覚的に印象付けるようにまとめてみました。
修正後
その他の修正について説明していない箇所がありますが、基本的には文字を大きくし、図や絵の大きさを調整しているだけです。もう一度修正前と修正後を比較して、見やすさを確認してみてください。
まとめ
パワーポイントによる論文発表の資料作成方法をまとめてみました。読んでみていかがだったでしょうか?正直、メンドクサイと思う人が大半でしょう。
しかし、資料をまとめることで文脈の理解力が高まります。また、自分が何か研究を行い、発表する際にも役立ちます。一度しっかり論文を読んでパワーポイントにまとめてみてはいかがでしょうか。
こちらの記事も合わせて読むと理解が深まります!
では!