外側上顆炎(テニス肘)の評価と治療

【理学療法】フィジカル

こんにちは!

理学療法士のたけ坊です。

今日は通称テニス肘と言われる外側上顆炎の評価についてまとめていきます。

久しぶりにテニスをしたら肘が痛くなってきちゃった

たけ坊
たけ坊

久しぶりなら休めば治りそうだね。前からずっと痛めている人は注意が必要だよ!

どうしてテニスをすると肘が痛くなってくるんだろう?

※Ahmadらの「Shoulder & Elbow Lateral epicondylitis A review of pathology and management」(Bone Joint J,2013;95-B:1158–64. )を参考にしています。

症状

外側上顆炎の症状は以下に挙げられるものです。

・肘外側またはその周囲の疼痛
・前腕伸筋群(手を伸ばす筋肉)に沿った放射状の疼痛
・前腕伸筋群の収縮時の疼痛
・安静時痛による睡眠障害

原因

・前腕伸筋群(手首を伸ばす筋肉)の反復使用
・1kg以上の道具を扱う
・20kg以上の荷物を10回以上扱う
・2時間以上の反復作業

原因としては、重いものを用いた動作または軽い作業の反復が挙げられます。

病態

外側上顆炎の病態は4つのステージに分けられます。整形外科に来る患者さんは、ステージ2で来ることが多いです。

ステージ1 急性炎症
ステージ2 反応性変化 線維芽細胞・血管過形成、コラーゲン配列の乱れ
ステージ3 構造不全 部分的、または完全な断裂
ステージ4 線維化、石灰化などの変性

肘関節にはマクロファージや好中球などの炎症細胞が少ないため、炎症ではなく変性過程(微細な損傷を繰り返すことによる過程)の腱障害が発生します。腱への伸張ストレスにより架橋やコラーゲン沈着が促進されます。

鑑別疾患

外側上顆炎以外にも肘の外側が痛くなる病気があります。以下の疾患を評価では鑑別する必要があります。

・頚椎症性神経根症
・同側の凍結肩による代償的な肘のオーバーユース
・後骨間神経障害
・腕橈関節の退行性変化、離断性骨軟骨炎
・肘筋の炎症
・感染症

評価 

外側上顆炎の場所や病態を調べるために評価が必要です。また、痛みが本当に外側上顆炎によるものなのかを確かめることも必要です。以下に肘外側の痛みの要因や病態を探るための評価を挙げていきます。

圧痛

圧痛は疾患を理解する上で重要な評価です。主に圧痛が生じやすいのが疾患の名前にもなっている外側上顆です。その他にもsoft spot(上腕骨小頭-橈骨頭-肘頭)、橈骨神経上などに痛みが生じることが多いです。

超音波

・ECRB腱の厚さ(mm)

・ECRB腱の低エコー域

・ECRB腱のドプラー 

MRI

MRIを撮影している場合は外側上顆から短橈側手根伸筋の断端までの長さも調べておきます。

・短橈側手根伸筋の断端距離(mm)

整形外科テスト

・Thomsen(トムゼン) test:被験者は手首を反らせる。被験者は抵抗を加える。痛みの有無を調べる。

・Middle Finger Extension Test:被験者は指全体を反らせる。被験者は中指に抵抗を加える。痛みの有無を調べる。

・滑膜ひだ(フリンジ)テスト:前腕を回内(内にひねる)・肘を伸ばしたときの肘外側痛を調べる。

滑膜ひだは関節内に伸びる組織のことであり、その挟み込みによって痛みが生じる場合があります。

・Jacson test:検査者は首を後ろに曲げる。検査者は額を圧迫する。神経領域に広がる痛みを調べる。

・Spurling test:被験者は痛みがある頸部または上肢側に首を回す。さらに首を後方に曲げる。検査者は頭を圧迫する。神経領域に広がる痛みを調べる。

・SARS:肩を外転させ手を頭の上もしくは後頭部に当て症状が軽減するかを評価する。

・橈骨神経伸張テスト:被験者は仰向けに寝る。リレーのバトンをもらうように肩を外に開き後ろに伸ばす。手は握っておく。検査者は被験者の肩がさらに伸ばされるように腕を動かす。神経領域に広がる痛みを調べる。

・正拳テスト:被験者は肘屈曲位から前に拳を突き出す。検査者は抵抗を加える。左右差を評価する。

・Elbow Push Test:被験者は足がつかないように深く座り腕を組む。検査者は被験者の肘を押し、肩甲骨の安定性を調べる。

疼痛軽減テスト

・遠位橈尺関節(DRUJ)固定:被験者は手首を反らせる。被験者は抵抗を加える。検査者が遠位橈尺関節を握った場合とそうでない場合の痛みの違いを調べる。

・手関節伸筋腱圧迫:被験者は手首を反らせる。被験者は抵抗を加える。検査者が手関節伸筋腱を握った場合とそうでない場合の痛みの違いを調べる。

治療

治療の目的
整形外科・リハビリテーションでの治療では疼痛の軽減、前腕伸筋腱にストレスを与える動作の改善、握力・持久力の改善、組織学的状態・臨床症状悪化の抑制が目的です。

リハビリテーション
前腕伸筋の腱を強化するために、前腕伸筋の遠心性収縮を用いた筋力強化練習を行います。加えて前腕伸筋腱のストレッチを行います。

遠心性収縮とは、運動方向にブレーキがかかるように筋肉を収縮させる方法です。椅子に座るときに勢いよくお尻がつかないように、前腿の筋肉を働かせる場合が例として挙げられます。

装具療法
エルボーバンドを使用することで前腕伸筋群の緊張を緩和を図ります。

抗炎症薬
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):ロキソニンなど
副腎皮質ステロイド:関節内注射

代替療法
対外衝撃波
レーザー療法
針治療
ボツリヌス毒素
局所硝酸薬
自己血注入
PRP療法

まとめ

肘外側の痛みですが細かく評価を行うと原因がどこにあるのかが浮き彫りになってきます。痛みの犯人を見つけることができれば、疼痛の改善に最短距離で進むことができます。難しい評価も含まれていますが、症状改善のために頑張っていきましょう!実践的に評価したい場合は以下のブログがおすすめです!

参考文献は下記のURLを参考にしてください。

ではまた!

Lateral epicondylitis | Bone & Joint
Lateral epicondylitis
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