英語論文って難しそうで論文紹介に手が出しづらいな…。
一つ一つ順を追って慣れていこう!
使用した文献
タイトル:Effects of a Home-Based Stretching Program on Bench Press Maximum Strength and Shoulder Flexibility
日本語訳:ベンチプレスの最大筋力と肩の柔軟性に対する自宅ベースのストレッチプログラムの効果
論文の内容を一言でいうと、ストレッチは筋力増大に影響するということです。今回はその内容をどのように考え、パワーポイントにまとめられるのかをお伝えします。
実際のスライド資料
完成後の資料を最初に見たほうが目標までの流れがわかりやすいと思います。一部著作権の関係でぼやかしたり、文章をでたらめなものに変更しています。
スライド資料
スライド資料を見てどうだったでしょうか。工夫点は分かりましたか?
英語論文の日本語訳を印刷
今回はすでに英語論文が決定したと仮定してスライド作成までの流れを説明を進めます。英語論文の探し方については今後作成しようと思います。
さて、英語論文を見つけたら、その英語論文があるウェブページを開きます。今回は下記のページです。
論文を開くブラウザはGoogleクロームをおススメします。
開くと以下のようなウェブページに行きます。
右上に翻訳ができるボタンがあります。その日本語を選択すると日本語に翻訳されます。
日本語になったウェブページを印刷します。そして、英語のみの論文も一緒に印刷しておくことをお勧めします。なぜかというとよくわからない翻訳になっている場合があるからです。以下が本論文中の一例です。
イギソ(イソギンチャクみたいですね)ではなく、IG(介入群)のISO(最大等尺性収縮力)です。
印刷を終えたらいよいよ内容に入っていきます。
本文の読み方
大枠を読む(1周目)
まずは大枠を理解するために読んだら段落ごとにタイトルを付けていきます。その時に、重要になりそうな文章があれば線を引いておきます。以下の画像はイメージです。
次に2週目の読みに入ります。この時は少し読み方が特殊になります。
イントロダクションを読む(2周目)
イントロダクションの部分は段落が多くなければ、1文ごとに番号をふり、文章の構成を調べてみます。以下が例です。
そして図にして関係性をまとめてみます。この時のポイントとして、各文章が論文の目的に向かってどのように役割を担っているかを意識します。以下に文章タイトル一覧と関係性の図を載せます。
この関係性の図を見ると、①最大筋力は基本能力、⑩ストレッチが最大筋力増大を誘発、⑭目的、が大きな流れになっていることがわかります。つまり著者は、ストレッチが最大筋力増大に関係しており、それを調査したいと考えているようです。しかし、それは以前にも研究されているため、今回改めて調査するための大義名分を他の文章で補っているという構図(あくまで推察)です。
2周目の読み方(イントロダクション以外)
イントロダクションより後では、文章の内容を理解しやすくするために簡単な図などを記載しておきます。以下がイメージです。
3周目以降:絵コンテのようにまとめる
ここからはスライドに乗せるためのイメージをさらに深めます。可能であればイラストも交えて、スライドをどのように表現しようか考えます。ドラマや映画をつくるための絵コンテのようなイメージです。下に本当の絵コンテを用いてスライドのイメージを書いてみました。(実際はここまでしなくて大丈夫です!!!)
ここまで出来たら後は実際にスライドをつくるだけです。
スライド作成のポイント~修正前・後を比較して~
イントロダクション
NG例
修正後
イントロダクションのまとめ方は「イントロダクションを読む(2周目)」をご参照ください。
NG例は図のイメージが沸きにくいと思います。修正後は何となくですが説明したい内容がわかると思います。イメージが沸きやすくなるようなデザインを考えるのは難しいですが、練習を積み重ねるのみです。
NG例のタイトルは大きく、すべて「Introduction」との記載になっています、それではスペースがもったいないです。スライドで説明したい内容をタイトルにし、文字の大きさを小さく変更しました。こうすることで図を引き立たせられます。
方法
NG例
修正後
視覚的に見やすくするなら表を用いたほうが良いです。NG例は図を使用していますが情報が少し多い印象です。身長と体重は後で質問されたときに答えられるようにアペンデックス(付録資料)として発表用とは別スライドで作っておいても良いと思います。
NG例
修正後
NG例では、測定の流れと介入期間の流れが混同してしまっています。したがって、大枠の介入期間の流れを示した後、測定の一日および介入方法のそれぞれをピックアップしたスライドに分けて説明しました。
NG例
修正後
統計方法ではどのような比較を行ったのかがわかれば良いと思います。
上記の『反復測定』は同じ被験者で測定したという意味です。
『二元配置』とは2つ要因(今回は前後期間と介入有無の2要因)があるということです。
『分散分析』とは要因を考慮した検定をするという意味です。
したがって、修正後では2要因がわかりやすくなるように説明を加えました。
結果
NG例
修正後
文献の表や図をそのまま載せると、みている人が整理できなくなります。考察だけ使用する結果に絞り、表を再作成すると見やすくなります。
考察
NG例
修正後
NG例ではスライドの背景に透かしのあるイラストが挿入されています。このスライドはお勧めできません…。なぜでしょうか?それは、「何の写真だろうか?」と考察以外に考えを巡らせてしまうからです。そのため背景は白に修正しました。
考察は結果の吟味を行う部分です。「先行研究と同じ結果だった」だけの考察ではあまり意味がありません。どうしてそのような結果になったのか、の説明ができるように作り上げましょう。
NG例でも、どうしてそのような結果になったのかを説明しており良いと思います。もう一歩、図を使って視覚的に訴えることができればより良いものになれたと感じます。
Conclusion
NG例
修正後
NG例では「Conclusion」という見出しを付けていて、さらに次スライドのタイトルも「Conclusions」になっていて内容が重複しています。したがって修正後のように、タイトルを消しても良いと思いました。
そして、Conclusionは本文のまとめなので、タイトルの答えになるように記載する必要があります。今回のタイトルは「ベンチプレスの最大筋力と肩の柔軟性に対する自宅ベースのストレッチプログラムの効果」なので、その答えになるように修正しました。(今回は肩の柔軟性についての記載は省略しました。ストレッチしたら柔軟性が上がるのはご承知の通りだからです。)
まとめ
さて、今回は英語論文をスライドにしてまとめるという内容でした。お気づきかもしれませんが、英語を解読するのが重要ではなく、本文の内容を解読するほうが重要です。内容を理解するのであれば、潔く翻訳してしまう方が良いと考えます。
そして、英語論文は慣れです。怖がらずに何度も挑戦すると日本語と同様に本文を理解することができると思います。これからも是非挑戦してみてください!
以下のブログでは読み方の根本の部分も説明していますので目を通しておいてください。では!